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2007.05.17 20:01 |  海外留学  |  murajun  | 推薦数 : 1

ドクターコール

【ドクターコール】の論議が盛んですね。日経メディカルの特集のせいでしょうか?僕は経営が厳しく、経費で落ちる「日経メディカル」の定期購読を昨年やめちゃいましたが、いまだに無料でしつこく郵送されてきますのでチラッと眺めました。

ドクターコールに応じるひとが34%というのは推測より多いと感じました。僕も数回応じた経験がありますが、応じる意思があっても実際に応じた経験の無い「m3ブロガー医師」さんも多いようですね。単に僕より若いからでしょうか?

僕の基本姿勢は、「飛行機内なら応じる」です。

厳密に表現しますと、『スグに停車できず、他から呼び出ししたり病院に緊急搬送できない場所や環境では応じる』という事です。ですから、電車やバスや旅館や地上では「少し診て早く救急車を呼べ・・それまで診よう」っていう感じになりますかね。

実際に機内で応じた事は、多分3~4回あります。全部開業前です。開業したら飛行機とは非常に無縁になりますから。チャンと覚えているのは一度だけです。忘れかかっているケースは全て「患者は初老~高齢の軽症で呼ばなくても良さそうなケース」でスグ忘却の彼方に去ってしまいました。

 

一例だけハッキリ覚えています。想い出の一こまとして当ブログに書き残しておきます。それは、留学中のことでした。一時帰国途中のノースウエスト航空(今もありますか?)の機内です。あと2時間くらいで日本到着でした。英語と日本語でのドクターコールでした。日本人のスッチーも1~2人乗務してました。最初のコールでは誰も出ませんでした。僕は遠慮がちな性格なので他に名乗り出る人がいれば出ない性質です。このときは、2回目のコールとなりスッチー達が廊下を声をかけながら探して歩き回っていました。

最初に「動き」があったのは、前列の女性でした。『私、看護婦です。どうしましたか?』 僕は偉いなと感じました。最初は偉いです。そしたら、隣の隣の男性がモゾモゾしだしました。トイレ?と思いましたが、『私、脳外科医です。どんな患者さんですか?』と少し緊張してスッチーに尋ねていました。お二人に説明するスッチーの言葉は当然僕にも聞こえます。

『臍周囲の痛みの女性です。ヒドイというほどではありませんが、到着時の対応にも関係しますので診て頂きたいのです。』

看護婦さんも脳外科医も腹痛と聞いて悩んでいましたが、今にも立ち上がって行きそうな感じでした。そこで、僕が遅まきながら名乗り出ました。『お腹なら内科医の僕が診ましょうね。連れて行ってください』

皆さん僕を「なんで早く言わないの?」という眼で眺めつつも内心ほっとした印象でした。立ち上がってスッチーと前方に移動しますが、ジャンボ機のなかで「スポットライトを浴びる芸能人」のような歩き方だったかもしれません。途中、スッチーが追加説明をしてくれました。

『実は仲間のスッチーなんです、患者は。少し前からだいぶ痛がっていましたが、今はベッドにねかせてます』 なんと、スッチーを診察できる・・と若きドクターは自分が循環器内科医であることをそっちのけでドキドキしてしまいました。専門外でドキドキしたわけではありません。その頃は訴訟などは頭に全く浮かびもしませんでした。「スッチーのお腹を診察するなんて二度とない僥倖」との興奮を隠しつつ、二階席にあった仮眠ベッド室に案内され患者と二人っきりにされました。

横たわっていたのは確かにスッチーの制服を着た女性でしたが、少し中年といえそうなソバカスだらけのアメリカ人でした。一応ブロンドヘアーで英語も綺麗でしたので気を取り直して【問診】開始です。

「女性を見たら妊娠と思え」という鉄則からスタートです。セクハラの概念も完全に頭から消失してましたね。一時、頭の中は産婦人科医と消化器内科医を行ったり来たり・・・英語の都合で長く問診したり腹部診察をしているうちに幸いにも症状は軽くなり、緊急ではなさそうだと判断して『よくわからんけど、@@が**して&&なんじゃないか?緊急着陸も海の上で出来ないし、ついたらもう一度空港診療所で診せてね・・』ということになりました。

美人スッチー数人に丁寧にお礼を言われ、看護師さんと脳外科医の羨望の眼差しを一身に受けながら僕はエコノミー席からビジネスクラスにお引越ししました。その直後、その二人も「おこぼれ頂戴」でビジネスクラスへお引越し。大層感謝されました。

高給ワインをプレゼントされ他にも何かを貰ってスッチーの暖かい笑顔に包まれて僕らはまどろみました。幸せ、医者冥利に尽きるひと時で、僕は一生忘れません。連絡先を書いてくれ・・と可愛いブロンドスッチーに言われるままに書いて渡しましたが、会社からの礼状しか来ませんでした。そうですよね、スッチーが手紙くれるはず無いですよね・・・

ま、いまでも洋上を飛ぶ機内のように逃げ場が無くて他に誰もいないなら、相手がたとえヘンテコなオバハンでも名乗り出るでしょう。あの「スッチーの訴えるような眼差し」は断れません、僕は・・・・。

 

ということで、時代も違い性格もちがっていますから参考にはならなかったと思いますが、僕の「ドクターコール」の想い出です。

 

読んでくれてどうもありがとう。

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コメント

コメント一覧

義を見てせざるは勇なきなり、やはり医者である以上Drコールにはきっと応えると思います。まだ幸い呼ばれたことはありませんが。
written by Tai-chan / 2007.05.18 04:59
murajun先生のこの筆力の冴え、爆笑物です。
伏字は『ガスが溜まっていて便秘なんじゃないの?』かも、、、。

私は電車の中で我慢できない腹痛に、座るも立つも出来い程苦しくなり途中の駅で降りてベンチに横になりました。
横になったらアラ不思議。嘘のように痛みは『ガスと共に去りぬ』となりました。 幸い田舎の駅故人影も無く、香りと音で他者に迷惑をかけることは無かったものの 自分でもびっくりするほどの音と長い放出時間ではありましたね。

読んでくれてありがとう。
ア、これってmurajun風、もしかしたら佐野元春風かも、、、。

@@便乗コメント失礼します  by murajun@@
最近は多忙につきブログ更新が停滞しています。そろそろ中年の筆おろし・・・をしようかと目論んでいますが。
written by sagan / 2010.06.15 03:08

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