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僕は京都で予備校生活を送って以来、約30年近く何度も何度も京都に行くたびに東山の【哲学の道】に通っていた。お気に入りの【法然院】に行く時は嫌でも通らねばならない。
その哲学の道は琵琶湖疏水の水を流しているし、修学旅行で行った14歳以来、南禅寺から銀閣寺まで数え切れないくらいの回数歩いているのであるが、つい最近まで「知らなかったこと」がある。
正確に言うと、4月1日に「あれっ」と疑問が湧き出て、先程紹介した【走れメロス】を読んで疑問が頂点に達し、調べて初めて自らの長きにわたる誤解・無知・思い込みに激しく打ちひしがれながら、ここに告白の文章を書く。
多くの読者、特に京都市民には呆れられるほどの簡単な基礎事項であるにもかかわらず、僕はこの歳になるまで知らなかった事を大いに恥じている。
その事実とは・・・・
『哲学の道の横を流れる疎水の水は、・・・・南から北へ 流れている・・・』
ああ、情けない。鴨川も桂川も高瀬川も・・・およそ京都の川の流れは「北から南へ」と単純に信じ込み、疑う事すらしなかった。仲間内では【京都通】と言われていたが、今日をもって潔く返上する。
4月1日に、『川面に散った桜の花びらが、どうして北に動くのか?』と微かな疑問がチラリと湧きはしたものの・・・・情けない情けない。
【哲学の道】は、『北から南へ歩くべきか、南から北へ歩くべきか』・・・・・ 大いに悩みそうな心配を今はしている。
読んでくれてどうもありがとう。
どんなに忙しくとも、どんなに厚労省の愚作に振り回されよとも、どんなにマスコミの幼稚さにあきれ返ろうとも、手放せないのが書籍です。三度の食事を抜いても寝る時間を削っても書籍と映画は外せません。
先頃、『夜は短し歩けよ乙女』という本をご紹介しました。ついつい『命短し恋せよ乙女』と勘違いしそうですが、タイトルから察するように非常に楽しい傑作です。その森見登美彦さんが今年3月20日に出版したのが今日ご紹介する『新訳 走れメロス 他四篇』 です。「小説NON」2005年10月号から2007年3月号まで不定期掲載をまとめた短編集ですが、各所に『夜は短し・・・』の場面がチラチラ登場しますから、多分並行して書かれたものなのでしょう。そんな隠れた気配を探しながら読むのも面白いし、『夜は・・』が好きなかたには同様に作者のチャレンジを楽しめるのではないでしょうか?
さて、タイトルからお分かりかと思いますが、有名な(といっても遠い昔に始めの三作しか読んだ事はありませんでしたが)短編小説を完全に作者流に今の京都を舞台に自由に書き換えたもので、タイトル以外は別物・・と言えるほどです。とにかく、文体が完全自己流ですから、原作との対比など試みる必要はさらさら無いでしょう。アイデアは抜群ですね。
とは言いながら、矢張り原作を知らないより知ってる方が面白いでしょう。そういう意味では、【山月記】と【走れメロス】などが馴染みがありますよね。中島敦と太宰治の作品ですが、原作者を冒涜寸前にまで鬼気迫る渾身の森見ワールド作品です。決して叱らないで下さい、こんな作家なんです。面白いから許しちゃいましょう。
でも、【詭弁論部】って京都大学には本当にあるんでしょうか?
一番好きなのはやっぱり【走れメロス】でしょうかね。京都の街を走るスピード感や畳み掛けてくるばかばかしさの笑い、壊れたように見えてきちんと合わさる整合性など素晴らしい。もし京都に詳しくない方は市内地図を片手に読んでみてください。
でも、『夜は短し・・・』を読んでから読まれることをお奨めします。ジャナイト、ビックリしますから・・・
読んでくれてどうもありがとう。