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企業検診は随分と普及してきた。
当然と思われるかもしれないが、数年前までは検診逃れの事業所も少なくなく、経済不況が及ぼす影響かもしれない。今でも検診項目の多寡を眺めれば、企業の経営姿勢や経済状態まで推測できそうだ。
本日も数名の方が検診の二次精査を希望されて来院された。と言っても、診療所ゆえの限界があり「精査」としての必要充分条件を満たしているか?は、はなはだ疑問かもしれない。
今日のお一人は、10年フォローしている高脂血症の30代男性。最小限のスタチンを長年服用中だ。当院では半年毎に採血施行し、T.cho 210~220程度で安定しているが、会社検診では毎年245~265程度で「高い」と判定される。当院の「外注分」も検診の「病院検査部分」も正常上限値設定は同一だ。どう考えれば良いのであろうか。いろんな病院や検診施設のデータを眺めてみても、ここまで当院分と乖離があるものは少ない。その病院の検診データは少々ずれているのではあるまいか?そこの脈波検査(動脈硬化度検査)の値も高めに出るみたい。しかし、地域で最大規模の病院であり検診業務も相当大規模に運営されているので、疑問を表明しにくい。
まさか、高めに数字が出るように機械を設定して要精査率が上がるように細工しているわけでは絶対ないと信じているが、パチンコ台の出球調整や日銀の金利操作、マスコミの内閣支持率調査と同じカラクリ・・・ってことは・・・あるはずない・・・だろう。
今日のモ一人は、初めての40代女性。勤めだして初めてとった心電図に聞きなれない言葉が並び飛んでこられた。症状は勿論ないし他の異常データもなかったが、「房室結節調律、異常Q波」。確かに各定義に当てはまる所見であったが、病歴も家族歴も他覚症状も問題なかったので、報告書を白紙で出すわけにも行かず心エコー図検査のみ行って「治療を要する問題なし」と説明した。この報告書は幾ら丁寧に記載しても来年度はリセットされて全く考慮されずに、同じ人が同じ理由で毎年おみえになることもある。見てない読んでないのだと思うが、気の毒なのは患者さんだろう。
しかし、検診が盛んになれば盛んになるだけ問題が増えていると感じる。
非常に「厳しい判定」を下す傾向が増えた。
精査を要しない「僅かな異常」を書き連ねる傾向が増えた。
検査値の「施設別バラつき」が増えた。
二次精査を「自院に誘導」する傾向が増えた。
などなど・・・
結局は、「些細な異常まで厳しく引っ掛けて、自院で二次精査や治療を担当する」という傾向ですね。ただ、患者さんには「精査すべき異常か否か」が分かりにくいだろうし、病院の収益に大きく寄与してしまうだろう。当然、医療費は増加していくが、診療所ではなく病院にお金が偏在してしまうことが通例である。病院には経験の豊富でない「数打てばあたる」式の若手伸び盛り医師も外来担当するので、検診業務は「最も力を入れたい業務」であるに違いない。
勿論、見落としは患者の利益損失や訴訟やクレームに繋がりかねない時勢であるので、「怪しきはチェックする」傾向はやむを得ない側面があるのも確かだ。予防医学の名の下に検診が盛んになった背景には、訴訟社会と診療報酬削減が大きく影響しあっているように感じる。
検診こそが最大のコマーシャル・・・という傾向は今後も続きそうだ。
これも「クレーム社会」が招いた仕掛け・・・・ある程度、しかたあるまい。
読んでくれてどうもありがとう。
零細企業の我が家は、私の両親も法人理事として様々な雑用をしているが、最近ではデイサービスでの仕事のウエートが大きい。理事長である私が診療所から帰宅すると、ほぼ毎晩のように俄か理事会が開催される。
今夜の議題は、利用者の慶弔規定と収入予測であった。デイサービスは利用者と接する時間が長く、要介護者に対して親身になって働くため心情的に親しい関係が形成されやすい。だから、利用者の死去や長期入院後の死去の際などでどう対応するかがしばしば問題になる。簡単に言うと、通夜や葬儀や見舞いなどに行くか行かないか、行くなら誰が行くのか、利用中断後の期間や利用期間に応じて差をつけるか・・・などである。
開設当初は収入が比較的恵まれており、慶弔の見舞いには余裕があって幅広く考えていた。しかし、4月の報酬削減後は経営が厳しいので、見舞い対象を相当絞り込まなくてはならなくなった。なにしろ、全く同じ様(利用者数や介護度)に働いても、4月以降は毎月10万円ずつ収入が減り続けている。定員数も利用率も不変ながら、3月までには月収520万円が400万円にまで落ち込む試算が既にある。要介護者を要支援者に過半数読み換えているからだ。加えて書類と制度が複雑になって、毎日の忙しさは相当増えて残業もかなり増加した。しかし、職員給与や各種固定費は少し増加したし、送迎ガソリン代の値上げも直撃した。先述した情報公開料も不当に高く、他の経費をどう下げるかが大きな問題だ。つまり、忙しさは今まで以上なのに、純益は3月にはほぼ消滅してしまいそうな状況で、理事報酬は出せなくなる危険が生じている。
職員達は、そんな状況は受け入れたくないであろう。給与引き下げなど絶対にありえそうも無いが、政府の方針は介護費用負担を大幅削減して給与を下げさせ、労働力の不足分はインドネシアなどからの外国人労働者で補おうと策を練っているようだ。
今でも職員達は慶弔見舞いをしっかりやりたがっているが、過剰出費や過剰残業はなんとしても経営者としては避けたい。介護サービスはボランティアサービスではなく仕事なのである。給与が確保できなければ仕事とは言いがたい。定員数と職員配置規定が定められているので収入増加の方法は基本的に無い。倒産したら職員は他へ移ればいいが、経営者は夜逃げか自殺が今のトレンドかもしれない。
もう一つの議題は要支援1の扱いだ。旧要支援から新要支援1になってしまう人が非常に多い。中には、どう見ても大変そうな人がいて、要介護認定が適当と思われる場合が少なくない。それまで週2回のデイ利用を週1回に変更していただくだけの医学的根拠は皆無であり、単純に政府の事業者イジメ・利用者イジメなのである。なんとか沢山利用したいと希望されてもタダ同然の利用が増えてくると自身の首を絞め、事業所赤字から閉鎖へ、さらには従業員解雇に進展しかねない。パチンコならリーチの信頼度が進展していけば胸ときめくが、赤字の進展では肝がひえこむだけである。
そんなこんなで、政府の介護保険の大幅削減(約20%)計画は完全に成功しようとしているが、介護に携わる人間達の心は寒々とした諦めムードで覆われだしている。
赤字がでれば継続断念を余儀なくされるが、そのカウントダウンの開始は案外早いのかもしれない。臨時理事会の雰囲気もしばしば険悪なものになるが、80歳の父や72歳の母を苦しめているようで気の毒に感じることも少なくない。ホントはノンビリ暮らしたいのであろうが、しばらくボランティア労働をしてもらわなければ地域に貢献出来ない・・・
読んでくれてどうもありがとう。