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当院も田舎にあるとは言いながら、私鉄とJRの特急停車駅に挟まれ、その間を路線バスが繋いでいて、非常に便利が悪い訳ではない。車を使えば一時間以内に三つの空港に簡単に行けるし、最近も新たな道が完成したし、再来年には「高規格道路」というのが開通するし、廃線になった旧国鉄路線は立派な道に変身した。まさに、道路特定財源のつぎ込まれた車天国の地域とも言えなくはない。
しかし、困っている人が沢山居るのも確かであり、難しい問題が山積している。今日の患者さんは一しきり嘆いて帰っていかれた。車を運転しない独居高齢者が田舎には非常に多いが、こんな人たちにとっては道路なんて全く意味がなさそうであり、かえって窮状を招きかねない存在なのである。
田舎の開業医の立地は様々で、必ずしもバスや電車が利用できる位置にあるわけではない。最近では、利用者減少からバス路線の廃止が相次ぎ、自動車がないと通院困難になってしまった開業医も少なくない。新規移転になった病院も多くは広さを求めてバス路線からは離れてしまうケースもしばしばである。この場合、独居高齢者はどうするのだろうか?
今日の嘆きの老人は、血尿を気にして自宅から10km離れた泌尿器科を受診された。バスが利用できる5kmの当院に相談してくれればいいのにと思ったが、友人がそこへ行くというので付いて行った様だ。やや多くの検査が計画されたようで「僅かの異常」も見つかり、二回目以降は自分で通院する必要が出たが、そこの医院前を走っていたバスは最近廃止されてしまったらしく、タクシー代の往復7,600円は年金老人にはきついだろう。診察代や薬代も当然かかるし、病院によっては週に数回の通院を求める。「お金が足りずに通えない」と訴えると、「入院したら?」との返事で困惑して、30kmも離れた街の病院に代わったそうだ。
??であるが、そこだと遠くてもバスと電車が利用でき、往復2,000円以内で済むそうだ。
人口が少ない田舎には、開業医に通うにも公共交通機関を全く利用出来ないエリアが広い。最寄の駅やバス停まで徒歩で行けない場合の方が多分多いだろう。すると、みんな車に乗るようになり、一家に3~4台なんてザラである。携帯電話の普及で公衆電話が無くなったように、自家用車が普及するとバスの本数は減り、利便性は無くなり、採算が合わずに廃止され、自動車に依存し別の路線も廃止されて行く。そうして本当にバスや電車しか利用出来ない老人達が取り残され、食費を抑えてまで病院に年金を叩いてタクシーを利用して通うことになる。当然お金が払えなくなり、保険料を滞納したり通院回数を減らしたり、薬を飲まなくなったり、病院に行けなくなったりしている。見ていて哀れになってくる。以前は田舎にも幸せな生活があったが、今では未来に希望はない。この場所ですらそうだから、本当の田舎の人々はどう感じているのだろうか?
自動車しか頼るものが無くなった若い人は道路整備を希望し、叶わない場合には故郷を捨てて年老いた親を捨てて都会に出て行き、田畑も家屋も水路も荒れ果てていく。残された住民の希望を聞いてか聞かずか、立派な道路が次々に整備されていくが、人々は都市に買い物に出かけて行ってしまう悪循環が始まっている。都会にいるとバスが何台も連なり、傘を持たずに出かけられ便利この上ないし、持ち家さえあれば非常に安く生活も出来る。車なんて要らないしガソリン高騰も影響は少ない。私は田舎と都市の両方に生活拠点をもっているので、田舎の問題点を強く感じる。
少なくともこの地域では道路はこれ以上要らない。むかしの方が、バスや国鉄が多く存在し人々の生活を活性化していたし、暮らしやすく人口も多かった。道路を一本作るお金があるならバスをドンドン走らせて欲しい。20億の道路を作らずに、地域に必要なバスなどの移動手段を整備すれば、地方や地域は再生し環境も改善され、美しい国がたちまち甦ってくると感じる。
今日の患者さんを診察していたら、道路特定財源と、道州制と、人口減少と、地球温暖化などの問題を考えさせられてしまった。
読んでくれてどうもありがとう。
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