テレビゲームのような感覚で襲ったのか。
24歳の無職の男が、駅の改札口付近から駅前のショッピングセンターまでの間を駆けながら、両手に持った刃物を通行人らに振りかざし、8人を殺傷した。
日曜日の昼前、茨城県土浦市のJR常盤線荒川沖駅で起きた突然の凶行である。被害者も防ぎようがなかっただろう。
4日前には同じ土浦市内で72歳の男性を刺殺し、指名手配されていた。茨城県警は170人態勢で追跡、運転免許を持っていないことから電車で移動すると見て、荒川沖駅でも8人の私服警察官が警戒に当たっていた。
それにもかかわらず、目の前を素通りされて、2度目の事件を許してしまった。頭を丸刈りにしたり眼鏡をかけたりして変装していたというが、そうした事態も想定しておくべきだった。
男は犯行後、自分で駅近くの交番に行き、逮捕された。携帯電話から2度にわたり、「早く捕まえてごらん」などと警察を挑発するような110番もしていた。
命を絶たれた若者の父親は「どうして自分の息子がこんな目に」と語ったという。まったく理不尽な犯罪である。
男は「だれでもよかった。人を殺したかった」と供述しているというが、これでは、被害に遭った人たちもたまるまい。
凶器の文化包丁は、「人を殺すため」に約2か月前に市内で購入していた。前から犯行を計画していた形跡がある。なぜ、こんな不気味な事件を起こしたのか。動機の徹底的な解明が必要だ。
男は高校を卒業後、アルバイトをしていたが、最近は自宅に引きこもりがちだった。家族との会話もなく、「おとなしいが、切れやすい一面もあった」「いつも家の中でゲームに熱中していた」という証言もある。
引きこもりの若者が増えているという。引きこもりと犯罪は直接の関係はないが、これも深刻な社会問題だ。引きこもりの防止や就労を促す方策について、官民一体で考えていくべきだろう。
今年1月には、東京都品川区の商店街で私立高校生が通行人に包丁で切りつけ、2人が負傷する事件があったばかりだ。普段はおとなしそうに見える若者の、「キレる」犯罪が多発している。
個人的な恨みなどと違い、通り魔的な犯行は繰り返される危険性が高い。県警の追跡方法や警戒態勢に不備はなかったのか。これも検証が必要だ。[ 2008年3月25日1時37分 ]



