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2006.10.02 18:00 |  診療  |  仕事 / 職場  |  その他(医療関連)  |  太い腹  | 推薦数 : 0

くれると思って

話しました。もう少し肉付けすると、白血病の患者に移植するため、ドナー(臓器提供者)である方に、骨髄を提供してくれる事を前提に、お話しを進めていました。

今朝の新聞報道よると、レシピエント(移植を受ける側)である会社社長が、内縁関係にある妻の知人である女性に、血液型が一致するためドナー依頼した。手術後指名された知人女性には、内縁の妻からの借金を上回る金銭の提供があった。愛媛県で起こった生体腎移植における、臓器売買の疑いに対して、当時のことを思い出し表題に掲げた。

5年以上前になる。50代の男性で、疾患名は骨髄異型性症候群であった。骨髄で本来造られるべき、白血球や赤血球、血小板が上手く作られないか、出来上がっても機能不全があったりと、ご主人様を支えられなくなる。外から入ってくる敵から身を守ってくれる白血球が機能してくれないと、感染症にかかり易くなり、体に酸素を運ぶ赤血球が機能してくれないと、動悸や息切れが起こり、破れた血管をつなぎとめる血小板が機能してくれないと、出血しやすくなる。

骨髄異型性症候群は、後に白血病へ移行する前がん病変であり、色々なデーターから、おおよその移行確率も判明している。白血病になると同じ抗がん剤を使うが、チ○ピラあがりのヤ○ザには、効き目が悪いことも分かっていたために、初対面の若造から“告知”受けるのは、本当につらい場面であったと思う。

感染症で数回の入院があり、外来では時々輸血もしていた。徐々に外来に戻れる期間が少なくなって、いよいよ白血化に近い状況が来てしまう事になる。抗がん剤投与をして一旦は骨髄が平坦化するが、再びチ○ピラの細胞が増えるかもしれない。つらいだけである。悪い細胞が少なくなった(寛解)段階で、新たな骨髄細胞を入れて、残った悪者をとっちめてもらう手法として骨髄移植を考えた。

兄弟は他に4人の男性が居た。血液型(AOBの赤血球型では無く、白血球の型)を調べたところ、ドナーは3人。長兄は70を越え、心疾患を初め定期通院していることから、除外を申し出て了承された。残りの2人。もちろん妻と子供が居る一家の大黒柱であり、当然の如く妻から、健康被害への憂いが伝わってきた。

長兄と妻からの反応は想定内であり、それを排除して末弟のために、どちらかが一肌脱いでくれるものと思い込み、おおよその移植日程についてお話しする心構えで親族会議に挑んでいた。が、空気が徐々に悪い方向に進み、移植は見送られた。末弟は入院を続け、抗がん剤治療にも反応が悪く感染症で亡くなられた。親族会議以降、退院するまで病室には参加者の姿は無かった。

「発病初期に移植の可能性を皆で話し合い、弟が直接その提供を申し入れるべきなのに、手段が限られた今になり、先生に骨髄を下さいと言わせるとは如何なもんか。初めから言っていなかったお前ら夫婦が悪いんだ。勝手にしなさい。」ドナーサイドの意見であった。

これまでの症例通り、“私”が現状を話せば確実に理解してくれて、必ず骨髄を提供してくれるものと思い、患者本人と日程や移植への心構えを病室で話していた。何事も経験であり、ドナーへの振る舞いを勉強出来たとは言え、本当に痛かった。

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