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drpion / 2007.10.18 04:29 / 推薦数 : 0
今日の午前中はエリックの外来でした。
外来の最後に、前立腺癌で既に手術の日程が決まった患者さんがやってきました。
外来主治医の説明に納得していないのと、手術の日程が思いがけず早かったので心の準備が出来ていない様子。
74歳男性。PSAが20台ということで(スウエーデンの正常値は3以下)、前立腺生検を受けたところ、8つのサンプルのうち3つにグリソンスコア3+4の癌が見つかり受診。前立腺のサイズが150mlと非常に大きいため、小線源治療は無理と判断され、手術か待機療法の選択を提示されました。
奥さんと来院した彼は、手術の合併症について質問。尿失禁、EDについて説明されました。
「全く症状がないのにどうして手術を受けなければいけないのか。」と、素人にありがちな質問。
エリックに、「このタイプの癌で10年以内に死亡する可能性は30%くらいあるよ。」と言われてますます混乱。常に助けを求めるように奥さんの顔を見ています。エリックは、「自分のことなんだから自分で決めなきゃ。奥さんは助けてくれるかもしれないけれど、決定はできないよ。」とさとします。一方の奥さんは、「私は乳癌になったけれど、手術で全部取ったのよ。」と太っ腹。
患者さん、とうとう伝家の宝刀を持ち出しました。「もしあなたが私の立場だったら、どうしますか?」
通常、外科医は手術よりの考え方をするので、どうしても患者さんへの話もそういう方向へ向かう傾向があります。そして、外科医自身が病気になったとき、放射線治療や化学療法などより、手術療法を選択することも良くあります。そんな先入観で話を聞いていたら、
「私はあなたの立場になることはないから、わからないよ。」と想像もしなかった答え。
エリックは50代だと思われますが、PSAを測ったことがないんですって。そして今後も測るつもりがない、、、。理由は、、「手術なんて受けない。」方針だから。
東京で働いていたとき、上司であった教授がそんなでした。ヘビースモーカー、大酒飲み、不摂生と何拍子も揃っているのですが、「癌になったら無治療で死んでやる。」ということでした。でも、緩和治療はしてほしいとか。
几帳面なエリックがそうであるとは、ちょっとびっくり。
最後に、「統計は統計に過ぎないから、本当はあまり役に立たないよ。10年後にどうなっているかなんて、誰もわからないんだから。」
そして、「自分のことは自分で決めなきゃね。」って。
私も人生の中で何回か難しい選択を迫られる状況に追い込まれたことがあります。
そのときに思ったことは、
「決断することは人生で最も難しいことである。」
結局、この患者さん、決断はペンデイングとなりました、、、、。
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