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PSA検診の意義

drpion / 2007.09.14 06:02 / 推薦数 : 3
数日前のことで恐縮だが、前立腺癌検診を推奨しないという厚生労働省の研究班の指針が10日に出された。

国内外の研究論文を検証した結果、集団検診による死亡率の減少が明らかでないうえ、精密検査や治療による受診者への負担も無視できないため、市町村や職場で実施する集団検診としては「実施は勧められない」という方針を示した。検診は、血中のPSA(前立腺特異抗原)を測る検査。PSA検査は市町村の約7割が導入、検討中のところも少なくない。

研究班の指針に対し日本泌尿器科学会側は50歳以上の男性を対象に、検診でがんを見つける利益と不利益を十分に説明したうえで希望者に検診を勧める独自の指針を作ることを明らかにした。現時点で死亡率の減少を証明する信頼性の高い研究がないことを認める一方で、検診を勧める根拠として、<1>PSA検診の普及率が75%に上る米国で死亡率が3割低下した<2>検診受診者に進行がんが減ったことを示す報告が欧州にある――などを挙げた。

確かに米国のように医療経済効率に重きをおけば、治療しなくても良い癌が見つかる可能性は高くなるという意味で無駄が多い。しかし同時に、治療を要する癌の診断には役に立つ。現在のところ、治療しなくても良い癌としなければならない癌の診断基準が必ずしも明らかではないため、少なくとも日本においては待機療法は高齢者を除いてはほとんどなされていないのが現状である。現場の感覚で言えば、検診で発見される前立腺癌の中にも進行癌が少なからず存在することから、厚生労働省の指針には疑問が残る。

10年ほど前は前立腺全摘が適応となる初期癌は非常に少なかった。私がチーフレジデントをしていた頃、患者数の多い我が大学病院でも前立腺全摘は1ヶ月に1例あるかないかであった。ところが、現在はPSAの導入で何倍にも増えた。前立腺癌も症例によっては完治する病気になりつつある。完治には早期発見早期治療しかない。天皇陛下の手術以来、前立腺癌に対する認識が高まったのは確かだが、まだまだ日本ではマイナーな疾患であるため、50歳以上に対する検診は意義があるのではないだろうか。因みに、親族、友人には検査を受けるよう個人的に勧めている。

厚生労働省研究班と日本泌尿器科学会、どちらも10月をめどに成案とする予定で、完成すれば、研究班と学会による正反対の指針が並立する事態になる。

データを知っておくことは大事だけれど、それが全てではない。癌の患者さんに「どれだけ生きられますか?」と聞かれたときには、示す数字が常に目安にしか過ぎないことを説明する。
だから、こんな厚生労働省の研究班のようなリサーチは嫌いだー!!!

「医学において統計は一つ手法にすぎない。患者さんにとってはall or noneなのだから。」

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