~バリトン歌手河野克典さん、ピアニスト松山優香さんとのジョイントコンサート~ 11/14(土)無事開催!
~バリトン歌手河野克典さん、ピアニスト松山優香さんとのジョイントコンサート~ 11/14(土)無事開催!
日本のバリトン歌手を代表する河野克典さん、10数年ほど前だっただろうか地元豊田近隣の安城にてシューマンやシューベルトなどのドイツリートのコンサートを聴きに行ってその、中低音の美声に魅せられたのが最初の出会い。トヨタのカバハウスで、世界の歌巡りと言う企画に、アナウンサーの司会で、ソプラノ歌手と協演されているのを聴いた、河野さんとはその2回だけの接点であった。

その河野さんとJOINTコンサートを行ってしまった。
その感激はコンサートが終わってからひしひしと感じられる、不思議な体験になった。
始まりは突然にやってきた。ちょうど2年半前、ベーゼンドルファー225が当院にやってきた夏。それから1週間もたたないある夜、河野さんは私の旧知の歌の先輩、伊藤真司さんにつれられて突然来訪された。外来が終わるかどうかの夜、伊藤さんから電話がかかった。『おい、揚妻君、今河野さんと食事しているんだが,これから君の所に行っていいか?』それから小一時間、9時過ぎには、河野さんは伊藤さんと、もう一人旧知のソプラノ歌手鈴木恵美さんとともに当院2階フォーラム宙,星の部屋にいた。しばらくお話ししてから、突然河野さんの即席レッスンが始まって、わたしは緊張してレッスンを受けたことは当時のブログにも書いた。そのとき、来年には一緒にコンサートをしましょう、と約束したのだった。
それから2年、1年後の実現はできなかったが、折あるごとに河野さんからも『約束は忘れていません』という言葉をいただいて、ついにこの11/14(土)、『ふたりのバリトン、ふたつのシューベルト』というジョイントコンサートとして実現した。
私は前座としてシューベルト初期、ノヴァーリスの詩につけた全6曲の祈りの歌、Maria、讃歌I-IV、夜の讃歌を村上由紀さんのピアノで歌わせていただき、ティータイム休憩15分を挟んで、河野さんのうた、松山優香さんのピアノの、リートデュオという形での『冬の旅』全曲演奏。聴衆の方々にはシューベルト初期のロマンチックな曲をハイバリトンで、後期の重厚な連作を本当のバリトンらしい厚みのある声でと、全く志向の違う2つのバリトンを聴くことができ、お得ではなかったかと思う。何より、このすぐ近くでの河野さんの冬の旅はそれだかで十分お得ではあっただろう。

実は河野さんのコンサートとあまり宣伝すると、会場が満タンになるのではと心配し、報道規制ならぬ販売宣伝規制をしたことがかえって災いし、ふたを開けると40名あまりの入りで、もう10名ほどは入れたので、残念なことをした。
私の演奏のほうはあまり言わない。というのも、3週前に風邪をひき、咳のせいで一時全く声が出なくなり、外来も『ささやき』外来で切り抜け、何とか間に合わせたものだったからだ。高音域の、いつもなら聴かせどころの声が不安定で、何とも残念。声は50%,歌は70%のできであった。でも、直前に河野さんにヴォイストレーニングをしていただき、何とか声は出るようになった。またリハーサルを緊張しながら河野さんと松山さんに聴いていただきそれもいい経験だった。河野さん曰く「コンサート当日に声を気にしても、よくならないので、気にしない!」『あなたに足りないのは自信だ、ほかのすべては持っている』。
そして河野さんのコンサートは私自身、冬の旅全曲演奏2回目の体験。後で録音を聴いてもわかるが河野さんの歌は,リートデュオと言われる伴奏とはひと味違った主体性がある松山さんのすてきなピアノとともに、とても魅力的な冬の旅を作り上げていた。河野さんの力任せではない豊かなバリトンの声、それと絶妙に呼応する松山さんのピアノは、メロディーの流れ、随所に見られるきらきらした音色、当院のべーゼンドルファーの魅力を再発見させられるような演奏だった。残念ながら翌日のお仕事の関係で、松山さんは、コンサート終わってまもなく帰路につかれた。その演奏は、松山さんが帰られた後も、1週間後の今になってもまだ明瞭に眼前に立ち上がってくる。こういうピアノを聴いたのは初めて。実は昨日豊田市コンサートホールに来た内田光子さんのピアノソロコンサートを聴いてきたが、その演奏がかすんでしまうほどの印象で、内田光子さんを聴いた後も、松山さんのピアノの音色のほうが記憶に鮮明だ。当院のホールで、目の前で聴けたことも、確かにある。豊田のコンサートホールは響きが散漫で、演奏の現実感が乏しく、2Fで聴いたこともあってか、遠くで誰かが上手に弾いているというかんじしかなかったのは残念だった。内田光子さんが当院のホールで、ベーゼンでシューベルトを弾いたら、それこそすばらしいんだろうなあと、叶わぬ夢を思いながら。場所の関係だけでなく、松山さんには松山さんの世界と、輝く躍動感のある音の粒が感じられる。
というわけで、依然河野さん、松山さんのリートデュオの冬の旅が鮮明に心に刻まれて、ちょっとした機会に浮かんでくる。河野さんたちも、ぜひまたここでといってくださった。私も、来年でも再来年でも、またぜひご一緒にコンサートをしたいという気持ちでいっぱいになっている。
次の夢の、実現を、目指したい。夢とは、・・・
①30年来の夢である『冬の旅』全曲演奏を私もしたい。これは聴きながらふつふつとこみ上げてきていた。
②河野さんとのデュオ企画を今後も続けていきたい。
③松山さんのピアノで、一度リートデュオを歌ってみたい。これも松山さんも了解すみ!
来年の初夢としておこう。