第五回目のシューベルティアーデに寄せて
人間の魂は
水に似ている
それは天から来て
天に昇っていく
そしてまた地上にむかって
降りて来る定め
永遠に繰り返しながら
とゲーテは歌いました。都会の生活の中で水と出会うと、それが池や小さな川であっても、人間の心が和やかになります。美しい湖や果てしない大海原を見ると私たちはとても感動します。人間の心に何ともいえない懐かしさを与えてくれるこの水は、シューベルトの歌曲の重要なテーマの一つです。シューベルトは生涯、一度も海を見たことがありませんでしたが、ハイネの詩「海辺にて」を作曲し、ドイツ北海の海辺の情緒を見事なまでに描写しました。(これは昨年演奏しました。)また、一度も行ったことのないヴェニスのゴンドラを彷彿とさせる音楽も書いています。(これはまだ演奏していません。)
今回のプログラムでは、漁師の歌,海の静けさ、不気味さ、川辺の恋、別れの歌、ドナウ川の歌、嵐の後の情景、エルラフ湖などを表現した歌を用意しました。その中でもハイライトは、ピアノとホルンの伴奏による歌曲「流れの上で」です。これはシューベルト晩年の名曲で、川辺の自然の美しさと人間の恋の別れの心情が見事にとけ合い、また、ピアノとホルンと歌の、それぞれ異なった響きの絡み合いが本当に美しい曲です。コンサートで演奏されることは少ないので、この機会に是非お楽しみ下さい。
もう一つのテーマは、ヨハン マイヤーホーファーの詩による六つの歌曲です。シューベルトの親しい友人であったこの詩人は、自然の美しさに感動しながら、高い理想を持ち,それ故現実に苦しみました。シューベルトは、マイヤーホーファーの五十近くの詩を作曲しています。その一つ一つが、現実に苦しみながら理想に向かって努力していく人間の心持ちの証となっています。
浅田 豊
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