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当院は普通の内科医院である。しかし、アントロポゾフィー医学を学び、その人間観を診療理念の核に置くことで、患者様に対して気まぐれではない対し方ができるようになっていると考えている。そして、通常保険診療ができないために、当院では全く診療報酬を頂かずにアントロポゾフィーの音楽療法とオイリュトミー療法を行い、その治療費は療法士に直接患者様から払っていただいている。

またそうした療法を受けたいという患者様が各地から来院される。時間がかかるので、木曜日、午後診療がない余裕があるときに、午前診療の一番最後に予約を入れさせていただいて対応することにしている。現在の所、これは保険診療の枠内で行うため、全く通常の診療とは釣り合わない。国は5分以内の診療に制限をつけるのに、こうした誠意を持って患者さんの病歴を聴き、対処する30分−1時間以上の診療にも、心身症がなければ何ら配慮がない。(スイスでは時間あたりでの診療報酬の為午前中10名ほどの診療でも、おなじ時間に30人見るのとおなじ診療報酬が得られる)

本日も診療の一番最後に芸術療法希望、と言うコメントが入った患者様があった。殺人的な混みの昨日(水曜)午前と違い(昨日は本当に大変で、予約で40−50分、予約外は1時間半待ちまで出てしまった)、今日の午前は非常に流れのいい外来で、待ち時間なしからマイナス(!)数分。午前だけの診療日、スタッフも早く帰れると期待していた・・しかし、この12時予約の新患さんがいらっしゃらない。12時半過ぎてようやく来院。名古屋からわざわざ家族の診療相談にいらした方で、道に迷っての遅刻だったので仕方がない。 事務、看護師1名づつを残し、スタッフはあとは帰ってもらい、診察(問診)開始、13時過ぎに一度会計をしていただき、のこりの二名も帰ってもらい、1対1でお話し続行。1時半を回っていた。

音楽療法が妥当と思われる患者さんだったが、別の専門医に受診中で、その連携ができないと、私には正確な診断と治療方針ができない。紹介状を書いていただくことをお願いし、詳しい問診票をお渡しした。それを見たあと、正式に音楽量療法を行うかどうか決めたいと思う。

アントロポゾフィーの芸術療法はまずは医師がしっかりと診察し診断することから始める。それが他の補完代替医療と一線を画すものだと思う。しかしその分、私たち医師に責任が大きくなる。現代医学的な診断に加え、アントロポゾフィーによる拡張された人間観の元での患者の病態の考察を行った上で、治療方針を考え、音楽療法士やオイリュトミー療法士にこういう治療をと指示する必要がある。現実は厳しいが、何とかそういう自覚を持ちながらがんばっている。今回も、専門外でかなり大変な状況にある患者さんであった。自分の専門領域でない患者さまが多く来院、そう言う方はとくに一人1時間以上もかかるとなると、やはり自費診療で、ある程度時間の目安を提示し、通常診療とは別の枠を考えて行かなくてはならないということも痛感する。ただし、診療の対価としての診療費を頂こうという気はない。自分の診療の質に値段をつけること自体に抵抗がある。

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