2007.02.13 22:51 |  診療  |  開業 / 病院経営  |  シュタイナー関係  |  Dr.Schubertian  | 推薦数 : 0

私の目指す医療は?

2/10-12、名古屋で行われたWeledaセミナー。その講師の一人、イタリアのアントロポゾフィードクターのFrancardoさん。彼はStudioといっているその外来にて一日10数人の患者さんを見ているという。日本の外来人数との差はいったい何なのだろう。
アントロポゾフィーに私が求めているのは、Weledaが作っている自然材料のレメディーが使えるようになることではない。アントロポゾフィーのこの3年以上にわたる勉強では、まずは自然観察、人間観察を徹底的に行った。この学習体験を通して、患者さんに診察室で初めて会い、その第1印象をしっかりと刻みつけ、感じ取り、心の中で再現して、理解すること、その上で、病歴を伺い、診察という形で再度細かに観察し、疾患と患者さんの状況を理解し、解決を考えていく基礎が、少しだが、確実にできてきたように思う。この勉強を通して、人間の神秘を少しでも理解し、真の意味での共感と、共感に基づいた医療をすることにって患者さんの自己治癒力を発揮する手助けをすることが希望だ。

Weledaセミナーから帰った今日は過去最高レベルの患者数であった。フランカルドさんの1日の患者さんの数倍以上、こういう中では入ってくる患者さんの状況を感受することが十分にできない。もどかしいと言うより、あきらめの境地で、開かれるべき感性を半ば閉じての診療を余儀なくされた。
開かれた心で、患者さんを受け入れることができれば、診察室に入ってきて挨拶した瞬間から患者さんの心境や苦しみが感じられる。超能力などではなく、確かにとぎすました感覚と、感情で感じることができる。
現実は非常に苦しい外来であった、最後から2番目の風邪の男性はあまりはっきりした症状がなく(とにかく寒気でしんどいが熱は昨日出ただけで今日は平熱)、とにかく心を閉じて寒そうに縮こまって、話もしてくれなかった。通常患者さん、特に初診で急性疾患の方は通常は自分からその症状を医療者側に理解してほしいと患者さんの方から強く訴えてくるものだが、この患者さんはなぜか私に対して閉じていた。点滴でもしてほしかったのか?待たされたので怒っていらっしゃったのか?限られた時間では限界があり、私の方もあきらめてしまった。歯がゆい思いだった。
そして1時間以上お待たせした最後の患者さんは、12月から動悸が強く、近医受診し精査したが結果が出るのに2週もかかるため、心配で知人に相談し当院受診をすすめられ、相談にこられた。見るからに不安そうな様子。一見して冷たく湿り気のある、しかし、体の中は逆に乾いているような印象(つまり浮腫ではない)やせ気味の姿・・・実際に握った手は冷たくしめっていた。いろいろ伺うと、考えてみれば調子が悪くなった時期にかわいがっていたペットが死んで、今も悲しみから抜け出せないでいると。可能性として精神的なストレスが最も高いが、自律神経症状、不整脈症状、甲状腺機能亢進なども考えられ、他院と同じ検査を当院でより迅速に行うこともできるが、非常に近い時期に2回も同じ検査をするのは医療費の無駄使いにもなる。おそらくは心配ない結果であろうから結果を待ちましょう、しかしその結果が出るまでそのままではいられないし、結果が出たときに異常がないと言われ突き放されるのも不安なのではないかと伝えると、「先生はなぜ私の気持ちがわかるのですか?それこそ毎日心配していることです」と・・・多くの医療従事者が検査結果異常がないと言ってまだ苦しみのただ中にいる患者さんを突き放す。おそらくは、アントロポゾフィーのレメディーや、芸術療法がこの方の正式な診断の後の最も有効な治療のひとつであるだろうが、それはこうした急でまだ正式診断もできていない状況で、かつ時間的余裕がない場合には提案できず・・・オイリュトミーも平日昼に週1回だけなので、仕事のある男性は基本的に無理、薬はまだ十分には用意できていない・・・、やむなく、結果が出るまでの最小限の抗不安薬と、動悸時のベータブロッカーをお渡しした。(後で考えると、Cardiodoronを渡せば良かった・・・) これが決して解決ではないが、少し、借金するつもりで1週間見てみましょう、この借金は必ず返せると思います、とお伝えした。30分ほどかかり、終診は8時10分を過ぎた。しかし、患者さんは来て本当に良かった、他院の検査が異常でも正常でも結果が出次第、第一報を持って受診したいと言って帰られた。私たちスタッフは充実した気持ちになった(ように残業して帰って行くスタッフたちの顔を見て思えた)。
今の診療形態でいいのだろうか?私たちの求める医療はどういうものなのだろうか?どうしたら理想に思う診療が常にできるようになるだろうか?
奇しくも当院開院2周年を直前にして、これからの大きな宿題を与えられた気分であった。

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