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調書漏示問題では、一応の決着をみたようだ。
奈良地検はK氏の起訴を見送った。
例によってメディアは報道への公権力の介入に焦点をあてて批判しているし、K氏の起訴を見送ったのも地検がメディアの批判をおそれたのかもしれない。
結果には釈然としない。一般のメディアが公権力の介入を批判するのは当然としても、メディアは同業者としてのK氏や講談社をもっと批判すべきではないか。
鑑定医が逮捕されたことで、メディアは情報源の協力を得られにくくなることともっとも恐れているようだ。
でも、問題はそこにあるのではないと思う。
医師などの専門家がメディアに協力するのは、障害や疾病に関する誤解や偏見をなくしたいことや、何が必要な支援を社会が理解してほしいからであろう。
専門家としてメディアに「協力」するのであって、食品会社の内部告発者の立場とは本質的に異なる。
また医師にとってはクライアントの利益が第一であって、クライアントの利益が保護されない限り、どんなメディアとも協力できない。今回の事件は、クライアントの利益を台無しにしたという点で、鑑定医もジャーナリストも罪は免れないと思う。メディアは、その点をもっと重大視すべきだ。
啓発という点から医師の視点から今後のことを考えてみよう。
まず、精神鑑定が必要な少年事件が起きたときに、少年も少年の家族も鑑定医に必要な情報を提供することに躊躇するだろう。鑑定は一般の臨床とは違うのだろうが、それでも医師ー患者関係という信頼感が基底にあるはずで、少年も家族も事件と直接の関係のない個人情報までが公にされるのだから鑑定が非常に難しくなり、今後の少年犯罪の予防という観点からは大後退である。
社会的な負の影響は計り知れない。でも、この点を指摘しているメディアはほとんどない。
今回の事件のことで、僕自身はメディアに協力する気持ちを完全になくした。
それは逮捕を恐れるからではない。
メディアが
少年の人権を犠牲にすることに許容的であること
メディアにとって
専門家が単なる情報源であって協力者ではないと位置づけられているらしい
ということがわかったことだ。
さらに下記報道によると地検が
以下引用
「コピーは取らない」と持ちかけながら調書をデジタルカメラで撮影した行為などは「取材の駆け引きを超える範囲ではない」とした。
引用終わり
という新聞報道が事実なら、メディアが取材目的で嘘をつくことに地検がお墨付きを与えたということだ。
これは恐ろしいことで、例えば研究室で取材を受けている時にトイレにたつと、トイレに行っている最中に資料を撮影されたりすることがあっても「しようがない」ということだ。
この地検の発表を読んでジャーナリストは安堵しているだろうか?もし、そんなジャーナリストがいたら(いるとは信じられないが)、そうとうに極楽トンボである。
このお墨付きでジャーナリストは、さらに取材がしづらくなるはずだ。この点に関しても、心あるジャーナリストやメディアは地検を批判すべきでなないか?
あるいは地検の側からの暗黙の医師や専門家への警告か?あるいはせめてものメディアへのしっぺ返しか?
などとまで勘ぐりたくなる。
僕は今まで、ずいぶん取材に応じてきたし、啓発のためと思って自分の時間を費やしてきた。
しかし、今後は考え直そうと思う。
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