今度の旭川の講演では概論を話すのだけど、僕の場合、どういうわけか概論を話すことが多い。で、いつも同じ話ではつまらないので、概論については4つくらいの元パターンの原案があって、それに最近の話題とか聴衆のタイプ(親か、医者か、教師か、福祉か、TEACCH系?か)などによって、少しモディファイするという方法でやっている。で、この前の函館は歴史を簡単にして、歴史上のケース、つまりアスペルガーやウイングなどの歴史的な論文に登場するケースを軸に解説するという「歴史ケースパターン」だったんだけど、今度の旭川はなんでスペクトラム概念が必要になったかというウイングとグールドパターンなのだ。あと、構造化の必要性を中心に解説する、ラター、バータック、ショプラーパターンというのもある。
で、旭川の話だけど、スペクトラム概念を考える上で一番重要な論文は1979年、ウイングとグールドによるキャンバーウエル研究なのですね。
Wing L and Gould J: Severe impairments of social interaction and associated abnormalities in children: epidemiology and classification. J Autism Dev Desord 9:11-29, 1979.
この時代なんで、パンチカードでデータを整理したということだから、ホントに手作業だったんですね。論文というのは毎年大量に生産されるのだけど、後世まで影響力を持つ論文というのはホントに少ない。
今年の自閉症カンファレンスでメジボフ先生が、自閉症の専門家で、もっとも功績のあった3人はショプラー、ラター、ウイングの3人だと言っていたけど、本当にそう思う。
この3人は例えば、日本のフォークで言えば、岡林信康、高田渡、吉田拓郎、アメリカではボブディランとPPMとジョーンバエズみたいに、影響力があったし、実際の貢献も大きかった(ちょっとフォークに例えたの変ですね)。
話をもとに戻して、ウイングや我々は他の専門家から自閉症概念が広すぎるという批判を受けることがあるのだけれど、1979年の論文を読んで、なおかつウイングたちが今でもフォローしている79年論文のケースの話をきくと、
広すぎる弊害よりも、狭すぎる弊害のほうがはるかに大きいことに気づくのだ。
くわしくは
http://www.ypdc.net/study/seminar/asahikawa_061014.html(続く)