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2010.01.24 11:00 |  診療  |  医療制度 / 行政  |  勤務医の苦悩  |  ミッキー  | 推薦数 : 8

病院崩壊

 

以前に田舎の総合病院の内科医からこんな話を聞いた。

 

地域の医院から90代後半の誤嚥性肺炎、もともと寝たきりの患者が紹介されてきて、その病院の若い内科医師が診ることになった。回復の見込みはない状態。地域で唯一の総合病院に、そんな患者を入院目的に紹介ということ自体がその開業医のおかしなところではある。

が、しょうがないので、亡くなるまでの数日間を入院させたらしい。

 

亡くなった後、こともあろうにその開業医、「亡くなったのにこちらに電話がなかった。知ったのが遅くて葬式にも行けなかった。地域との関係を大事にしているのに。」と、怒って主治医に電話してきて、挙句に院長まで文句を言いに行った。

 

 

葬式は、家族が呼ぶものだ。呼ばれなかったといって、病院に逆恨みされても困る。

亡くなったら連絡してほしいなら、「代々懇意にしている患者だから、もしなにかあれば夜中でもかまいませんのでご連絡いただけませんか」とお願いすればいい。それもせずに、「連絡がなかった」と怒られても、という話だ。

そもそも、もともとなんで看取らなかったの?とも思う。患者家族が入院を強く希望したのかと思えば、「先生にこちらに紹介するからと言われた」と。

  

文句を言われた院長は、仕方なく事務長とともにその開業医に謝罪に行った。

その話を聞いた誰もが、その開業医の方がおかしいと分かっている。当然院長だって分かっている。

オトナの対応なんだろうけど、釈然としない。

「そこまでおっしゃるなら、当院に紹介していただかなくてけっこうです。当院からも紹介はいたしません。」私なら言うだろうな。

 

 

救急車がバンバンくる病院で月5回も当直して、翌日も通常勤務という過酷な勤務状況で、しかも少ない給料。

「大事にされているから、感謝されているから、自分が辞めたら地域住民が困るのが分かっているから、なんとか頑張ろうと思っていた。」と話す。 

話をしてくれた内科医は今年の秋に病院を移ることにした。

後任はいないだろう。労働条件が悪すぎる。

ただでさえ月5回の当直がさらに増えたら、さすがに他の医師も続けられないだろう。

 

 

その総合病院の崩壊は近い。

その開業医のせいとは言わないが、その内科医のせいでもない。

状況をわかっていない患者から「救急外来に行ったら、医者の愛想がよくなかった」などの投書があったという。疲れ切っていたところに少しずつモチベーションを削がれていたのは想像に難くない。

もちろん、総合病院を残そうという住民の方が多かっただろう。夜中にフラフラと疲れ切った医師が官舎に戻る姿を見て、せめてと官舎の掃除をしてくれていた、申し訳ないという。

 

しかたない。 

潰れる運命であった。すでにずいぶんたくさんのヒビが入っていた。壊れるのが早まっただけだ。 

 

壊れ物注意

の貼り紙が必要だったのかな。

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